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ゲルハルト・リヒター展/ライアン・ガンダー展

久々の投稿。先日、東京国立近代美術館のゲルハルト・リヒター展と東京オペラシティアートギャラリーのライアン・ガンダー展をハシゴしてきた。

ゲルハルト・リヒター展、音がない作品群なのに、作品の幾重も重なる層(それには絵具の層だけでなく、作品を透過する、あるいは作品そのものであるガラスや、作品を映し出す鏡なども含まれる)、複数の作品同士、観客の目の膜と、いくつものレイヤーが共鳴し、その響きが会場に漂っているかのようだった。

《鏡』という作品に映り込むいわゆる《カラーチャート》シリーズ(《4900の色彩》)

カラフルな作品群の中、唯一の映像作品でかつモノクロの作品《フィルム:フォルカー・ブラトケ》をぼうっと見ていると、不意にその中で動き回る人物以外の部分の「白さ」と大作《ビルケナウ》の元となる写真(リヒターの作品ではない)に写されたアウシュビッツ強制収容所内で焼かれようとしている死体の「白さ」が共鳴しているように感じ気づき驚く(最新作も白が多いドローイングだったが、リヒターにとって「白」は死の色なのだろうか)。

《ビルケナウ》(右)とその写真バージョン(左)が鏡(実はこれも《グレイの鏡》という作品)に写り込む。右奥の小さな額の作品がアウシュビッツの写真

東京国立近代美術館の常設展もここで見るのが初めての作品もあり、今回は久々に時間を掛けて見ることができた。見慣れたゲオルグ・バセリッツの逆さの自画像、シリアスなリヒターの後に見ると同じような境遇ながら、こんなに違う作品が生まれるのかとややほっとした気持ちになる。日本の近代作品もゆっくり見た。水越松南の絵はお初だと思うが、虎の絵がやばかった。水越松南、どこかでまとめて見たい。

水越松南《虎穴図》

近代美術館から最寄りの神保町に歩き、久々にまんてんでカツカレーを食べた後に初台へ。

東京オペラシティアートギャラリーでのライアン・ガンダー展、とにかく面白かった! 終始クスクスと笑いながら鑑賞。壁には作品キャプションがなく、ちょっとひねくれた紙の解説を読みながら作品に向かう。解説を読んだり、写真を撮ったりという、見ることに伴うある種の愚かさを鑑賞者自身が感じながら…リヒターは作品の中から見られているような気分だったが、ガンダーは作品を見ている私たちが遠くから眺められ、自分が作品になったような気分。

《編集は高くつくので》(セルフィー的な写真が続いてややお恥ずかしい)

同時開催のガンダーのキュレーションの常設展も面白い。これも作品と、その反対側の白い壁のキャプションを行ったり来たりという、かなりユーモラスな動きを鑑賞者に促す。これもある意味その反復的な動きを誘い出すことが作品と言わんばかりだった。

これはキュレーション作品のキャプション。この反対側の壁に実物の作品が並ぶ

ライアン・ガンダー展はすでに終了してしまったが、リヒター展は10月2日まで。ここまで大規模な回顧展はなかなかないので、未見の方はぜひお運びを…。

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今日のオススメ

Nduduzo Makhathini – Unonkanyamba

この曲はアルバムIn the Spirit Of Ntuの1曲目。このアルバムはいろんな雑誌で今年のベストアルバムとして採り上げられるんだろうな。南アフリカのアーティストとして初めてBluenoteからデビューしたらしいけど、納得。アフリカ的なミニマルな反復に重なるモーダルな演奏が最高!